地理学科出身のガイドが教える

​地図の読み方とコンパスの使い方

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連れて行ってもらう登山者から

連れて行ける登山者へ

登山の経験が長くても、以外とできない人が多いのが地図を読むこと。理屈はわかっていても、実際に使えない。そんな人をよく見かけます。ガイドでもきちんと地図の説明ができない人が多くいます。それは地図を読んで山に登っているのではなく、覚えて登っているからです。何度か現地のガイドさんが雪山で道が分からなくなり、私がナビをしたことがあります。

独学では限界があり、ネットや本だけでなく、実際にできる人に習ってほしいと思います。このサイトは私と歩いた方の復習用+αとして作っています。ゼロからの人はネットや本を読んだだけでわかったつもりにならないでください。テキストにしていないですが、色んなことを話しています。

地図を読む理由

 

大きく分ければ3つの目的があります。

1.登山前の準備

2.登山中の現在地とルートの確認

3.目標物の同定

 

ほとんどの登山者は登山中にしか使っていない可能性が高いです。

登山前の準備はガイドブックを読んで終わりでは?

 

準備段階で地図を読む意味

登山コースの確認、距離や標高差の確認、ルートのポイントの確認、エスケープルートの選定、概念図の作成など登山中における現在地やルートの確認は当然の使い方ですね。

 

目標物の同定

これができるようになれば、登山はずっと楽しくなります。いわゆる山座同定というやつです。遠くに見える山がわかるようになります。これはコンパスの使い方が分かっていないとできないでしょう。難易度は少し上がります。

 

 

登山に使える地図の種類

国土地理院1/25000 1/50000 1/200000

昭文社のエアリアマップ

ガイドブックの地図など

 

詳細な地形を読んで歩く登山には詳細な1/25000が必須。

山岳エリアではないいわゆる下界のウォーキングやカヤックやカヌーのリバーツーリングは1/50000でも問題なし。

山と高原地図 エアリアマップ

登山に必要な情報が記載された昭文社の地図。

地形図には記されていない、以下の情報が掲載されています。

・コースタイム

・登山道の状況

・山小屋の情報

・水場の情報

 

しかし、細かい地形は読みにくく、メジャーな山域しか発行されていません。

合成紙で雨に強いので、登山中の取扱は非常に楽ラクです。

ガイドブックの地図は論外。登山のイメージ用と思って下さい

くれぐれも、ガイドブックだけ持って登らないように。

 

 

縮尺と距離

1/25000は4cmが1km、1/50000は2cmが1km

 

 

等高線

等高線とは、同じ高さを結んだ線。

1/25000は10mごとに細い計曲線と50mごとに太い主曲線が、1/50000は20mごと計曲線、100mごとに主曲線が引かれています。

等高線の間隔が狭い所は急で、広い所はなだらかです。

 

下の地図は50mごとに等高線をなぞったもの。

等高線を読むのが難しいと思った方は、50mごとに引かれる主曲線をなぞってみましょう。

地形の把握が簡単にできます。

白馬岳は西側がなだらかで、東側が急だとひと目でわかりますね。

地図の読み方

地図記号

覚えたいのは植生記号や崖、雪渓など。

針葉樹、広葉樹、ハイマツなどの記号を確認することで、登山道の雰囲気を推測することができます。

また、崖や雪渓三角点なども覚えましょう。

地図記号はこのリンクでご確認下さい。国土地理院のサイトに飛びます。

http://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign-tizukigou-h10syokusei.htm

 

 

尾根と谷

等高線を見ることによって谷と尾根を見分ける。地図読みの基本の基本。

よく例えられるのが、手を広げて「指が尾根」で、「指の間が谷」。実際はこんなに簡単ではありませんが・・・。

実際に玉置山の東側に尾根と谷を引いてみます。

地形の把握は容易になりますが、小さい谷や尾根を大きな谷や尾根と勘違いしてしまうこともあるので注意が必要です。

登山前にすること

 

ルートの把握

ガイドブックやエアリアマップから、登山道をまず記入。

どんな地形を歩くのか、登りは急は緩いかと考えながら、登山道を引くこと。

所要時間やポイントそして磁北線なども記入。

概念図作り

一目でルートの全貌がわかる概念図を作ってみる。地図に書き込むだけではなく、自分で簡単な地図を書いてみる。

そして距離と標高差も算出してみる。ここまでやれば完璧!!!  20歳の時の登山計画書です。

磁北線の引き方

磁北線と磁北とは

地図上の真北である北極点と磁石が指す北は違います。

 

そのズレを磁北偏差と呼びます。例えば、西偏7度20分の場合は、地図の真北から西に7度20分ズレて磁石の北があるということです。コンバスの角度は時計回りに0度から360度なので、磁北を合わせる時はコンパスの360度から7度20分を引いて、約353度方向になります。

誤差の範囲ですが、知っておくといいのは7度20分の分は60進数ということ。例えば7度30分は7.5度です。この概念は時間と同じです。

7時間30分は、7.5時間ということ。

 

北に行くほど磁北偏差は大きく、南に行くほど小さくなります。

 

今回は白馬岳で磁北線を引いてみましょう。これを間違えると、コンパスは使えない道具になってしまいます。

もしも磁北を考慮しないと、磁北偏差西偏7°(関西の六甲山の場合)1km先のものですら120mもずれます。10km先だと1.2kmも・・・。

 

下の図は磁北の位置を示しています。北極点と異なることがわかると思います。(ウィキペディアより引用)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E7%A3%81%E6%A5%B5#/media/File:Magnetic_North_Pole_Positions.svg

北磁極付近では磁石が使えない!

私は北極圏に行ったことがあるのですが、その時の地図に記載されてある注意事項。要するに、磁石のコンパスは使えませんという事。

コンパスが使えないエリアでの北極海の探検が、困難を極めたことは容易に想像できます。

磁北線の引き方

コンパスを地図の北と同じ方向に向けて、先ほどの真北から7度20分の方向へ線を引きます。

※7度20分は7.333度  これは20/60の0.333を7に足すことで求められます。

簡単にしたい場合はgoogleの検索で「7度20分は何度?」と入力してみましょう!

 

コンパスを使っても、分度器を使っても大丈夫なので。地形図の左右の端から7.33度西へ(右)へズレた線を引きましょう。

基本はこれです。基本は。

 

 

では、応用編は? 三角関数です

tanを使うと、とっても正確な磁北線が引けます。

この数式を使えば、分度器やコンパスは不要です!

下の図は地形図に4cm間隔で磁北線を引くときの数式です。X=磁北線の間隔÷tan(磁北偏差)

たぶん、普通のガイドさんはこんな事を考えないでしょうが、地理学科出身なので(^^)

関数電卓での式はこのようになります。

ということは。Xは31.082cm、約31.08cm。 

角度も念のため測ってみましょう(^^)  

この磁北線の引き方をマスターすれば、コンパスや分度器なしに正確にできますよ。

あとは、最初の線と平行に引くと完成です!

 

 

地図の折り方

地形図は大きいので折って使わないと、すぐにクシャクシャになります。

まずは地図の縁の余分な部分を折り返して、地図のみにします。

4角のうち3つは右の写真のように折ります。

右上は白馬岳の文字が消えちゃうので、そのままに。

地形図が増えると、探すのが大変になるので、インデックスとして利用します。

地図を内側に二つ折りし、それぞれをもう一度折り返します。

注意したいのは、右の写真のように、真ん中の折り目が飛び出ないように折ること。こうすると、地図の真ん中の摩擦が減り、長持ちします。

コンパスの使い方

コンパスにはなぜプレートが必要か?

北を指すだけなら、高いコンパスは必要ないです。方位磁石でいいんです。

コンパスとはいったいどういう道具なのかを考えてみましょう。

それは、目標とする物や方向が、磁北から何度の角度にあるかを、測る道具ということ。

そのためにはズレを測る、ベースとなるプレートが必要です。

 

コンパスの使い方

コンパスは先ほど書いたように磁北からの角度を測る道具です。

 

地図から目標物を見つける

例えば、白馬岳から小蓮華山を見たい!どうするのか?

コンパスのプレートの縁を、白馬岳の山頂から小蓮華山へ向けます。

 

わかりやすいように、赤いペンで直線を引いてみました

コンパスを見たいものの方向に向けます。この時、コンパスの中心ではなく、プレートの縁を使って下さい。

次は

ベアリングの下の線を磁北と平行にします。すると、角度がでます。

この角度が、白馬岳の山頂では磁北から、何度方向に小蓮華山があるかという事を示しています。

白馬岳の山頂でコンパスのベアリングを50度にして磁北線とコンパスを合わせると、その先には小蓮華山が

 

もしもここが白馬岳なら、この方向に小蓮華山があります!!

目標物を地図で見つける

今の作業と逆をするだけ。

山座同定には1/25000では範囲が狭すぎるので、1/200000程度の地図が欲しいです。

冬山での地図読み

ホワイトアウトナビゲーション

難易度が一気に上がる、雪山の登山

このような状態できちんとルートファインディングできますか??

いわゆるホワイトアウトという状況です。この状況できちんと地図読みができれば、上級者といっていいでしょう!

磁北線を引いて、ルートに目印を付けて、普通に地図を持っていくだけではきっと無理でしょう。

そこで登場するのが、もう一歩上の技術である、ホワイトアウトナビゲーションです。

地図上に細かくポイントを設け、ポイント間の距離、標高差、そして次のポイントへの方向を事前に作成しておきます。

下の地図は、岐阜県の高鷲スノーパークから登る、大日ヶ岳のホワイトアウトナビゲーション。

実際にこれを見て、上の写真のようなホワイトアウトの状況から下山しました。

上の写真のような状況では、数分もすれば自分のトレースも消えてしまいます。

友人は「沖本がいなかったら遭難していた」というような状況です。こんな状況ではスマホのGPSは使い物なりません。

詳しく見ると

①の区間 磁北から285°の方向へ220m歩き、その間に50m登る

②の区間 磁北から320°の方向へ向きを変え、220m歩き、さらに40m登る

③の区間 磁北から270°の方向へ向きを変え、210m歩き、さらに41m登る

といった具合です。

記載しているのは往路の角度。

では帰路はどうすればよいのか???

2つのやり方があります。

初心者は、帰りの角度も記載しておきましょう。これをバックベアリングと呼びます。この地図ではバックベアリングは記載していません。

慣れてきたら、バックベアリングは不要。帰路ではコンパスのNとSを入れ換えて使えばOK。

この意味がすっと分かる人以外は、バックベアリングを記載しましょう。

ポイントごとで確認しながら歩く

これらのポイントで確実に位置を確認をし、先へ進んでいきます。

もちろん、視界が良ければ、そこまでしなくていいでしょうが、悪い時は確実に行います。

更に道を間違えやすいと思われるポイントは事前にチェック。

下りで尾根道を外れるポイントなどは要注意です。

ここまでするのか!と思われるかもしれませんが、雪山ではそれだけリスクの高い事をしているとい意識を持って登ること。

地図を読めず、他人のトレースを当てにするような登山者は、雪山を控えるべきです。

GPSは有能で、私も冬山には持っていきますが、頼りきった登山はやめましょう。

技術的・装備的なことはおいておくとして、

無積雪期に下見し、更にホワイトアウトナビゲーションを作成し、冬山へ行く準備は完了です。

くれぐれも、どこの誰だか知らない人のトレースをあてにして歩く登山者にならないように!

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日本山岳ガイド協会認定登山ガイド 沖本浩一

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